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洞见博客

MIX観察によるスクリーニングでラマン分析の作業時間を短縮する

作者  -
日本分光株式会社 Ramanシステム課

図1. 観察手法による見え方の違い(試料: 金属基板上の錆)

図1. 観察手法による見え方の違い(試料: 金属基板上の錆)

「UIS2光学系がラマン分光光度計の設計における観察機能をいかに向上させたか」でもご紹介した日本分光株式会社は、昭和33年の創立以来、一貫して光分析機器を開発・製造・販売し、分析サービスも展開しているグローバル企業で、エビデントの顕微鏡ユニットを各種ラマン分光光度計に採用していただいています。特に、対物レンズの瞳位置が揃っており複数の対物レンズを搭載する装置の光学設計がしやすい点に、高い評価をいただいております。

このブログでは、日本分光社のRamanシステム課の副島武夫氏に、MIX観察が同社のラマン分光光度計にどのようなメリットをもたらしているかを解説していただきます。
 

試料の色、表面の 傷・欠陥や表面凹凸をより鮮明に

「MIX観察用ユニットU-MIXRは、従来の明視野観察や暗視野観察よりも、試料の色、表面の傷・欠陥や表面凸凹を鮮明に可視化できるため、弊社ラマン分光光度計のキーデバイスとなっています。
2018年、エビデント社(当時オリンパス)からMIX観察用ユニットU-MIXR*をご紹介いただき、弊社のレーザラマン分光光度計NRS-4000/5000シリーズ(図2)に組み込んで評価を実施しました。これらのシステムは、光学系の切換えや光軸調整が自動化されており、簡単なソフトウェア操作により、サブミクロンオーダーの微小な異物分析からイメージング測定まで幅広くご使用いただけることが特徴です。

冒頭の画像は、MIX観察を使うことで試料の色が鮮明に見える例で、赤色のものが赤錆、黒色のものは黒錆です。従来の明視野では、粒子の色の区別がつきにくく、すべての箇所を測定する必要がありましたが、MIX観察を行うと色でスクリーニングできるため、測定時間が短縮できます。」
*現行製品名はU-MIXR-2

図2. 日本分光のレーザラマン分光光度計

図2. 日本分光のレーザラマン分光光度計

MIX観察:見えなかったものが見える

「MIX観察は、明視野と暗視野の照明方法を組み合わせることで、それぞれの利点を活かした見え方を実現します。その他の例として、色が強調されたビタミンの部分だけがラマン測定された際の画像と測定結果を示したのが図3です。ラマン測定では試料からの蛍光が測定を妨害することがあります。そのため、ラマン測定の光源であるレーザー光の波長を変えた条件検討に時間がかかっていましたが、MIX観察により、見える試料の色から試料毎に最適な励起レーザーを推測するのが簡単になりました。」

図3. ビタミンのラマン測定例

図3. ビタミンのラマン測定例

「当社ではラマン分光光度計のアプリケーションの拡大を常に考えており、それぞれの顧客要求に素早く対応していくことはとても重要です。以前、光学的に綺麗に観察することが難しく、分析前の位置決めが困難なアプリケーションがありました。自社で何か新規開発して対策を講じなければならず、困っていたのですが、そのときエビデント(当時オリンパス)さんが紹介してくれたMIXスライダー(U-MIXR)でMIX観察を試してみると、見事に問題が解決しました。従来の暗視野は、光学系を明視野から物理的に切り換える必要があり、MIX観察を行うことが不可能であったため、このユニットをレボルバーに挿入するだけで、簡単に暗視野観察/MIX観察が行えることは画期的でした。また、ソフトウェアから明視野/暗視野/MIX観察を簡単に選択できるようになり、単に試料が綺麗に見えるということに留まらず、ラマン測定も大幅に時間短縮することができました。」

図4. エビデントのMIX観察用ユニットU-MIXR-2

図4. エビデントのMIX観察用ユニットU-MIXR-2

「エビデントの暗視野対物対応のレボルバーがあれば、お客様が所有されるラマン装置を低コストでアップグレードできることもU-MIXR(図4)の大きなメリットでしたので、すぐに採用することを決めました。弊社のHPや製品カタログでもアプリケーション事例を紹介していますので、こちらよりご覧ください。」
 

協業によって分析機ビジネスを発展させる

「エビデントさんからは共同イベント開催の提案や、より美しく・速く、試料を観察して測定するためのシステム開発の相談にも乗っていただいています。今後は、単に製品の提供に留まらない、新たな関係性を構築していけるのではないかと期待しています。」

装置設計に組み込む高品質な光学コンポーネントについてもっとお知りになりたい方は、https://www.olympus-lifescience.com/oem-components/をご覧ください。

日本分光社についてのより詳しい情報については、www.jasco.co.jp/jpn/product/Raman/index.htmlをご覧ください。
 

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日本分光株式会社のRamanシステム課所属

ラマン分光のアプリケーション開発部門を経て、ラマン分光のシステム開発に従事。

九月 29, 2023
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