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洞见博客

半導体検査のスループットを向上させる対物レンズの設計

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半導体検査のスループットを向上させる対物レンズの設計

エビデントは、ライフサイエンス研究、医療、工業などの幅広い分野において、装置組込み用の光学コンポーネントを幅広く取り揃えています。

また、半導体やFPD、OLED検査市場における装置設計の最適化に貢献するため、常に最新の技術で対物レンズの開発に取り組んでいます。その一環として、今回は工業用検査のスループットを向上させる対物レンズ技術に注目しました。

スループット(一定時間内に処理できる検査数)は、半導体、フラットパネルディスプレイ(FPD)、有機発光ダイオード(OLED)検査用の装置を開発する設計者にとって共通の課題となっています。今回は、検査スループットを向上させるために新たに開発した対物レンズシリーズについてご紹介します。
 

半導体ウェハー検査におけるスループットの限界に挑戦

ウェハー検査では、一般的にワーキングディスタンス(WD)の短い対物レンズを使用し、解像度を確保する必要があります。対物レンズとウェハーの距離が短いと衝突の危険性があるため、ウェハー交換時にはレボルバーを後退させる必要があります。しかし、ウェハー交換のために顕微鏡のレボルバーを上下させると、検査時間がかかり、スループットを制限してしまいます。

同じ倍率とNAで、作動距離の短い対物レンズと長い対物レンズ(左:1mmWD、右:3mmWD)を比較した画像。作動距離の長い対物レンズ(右)は、対物レンズとサンプルの間にスペースがあり、衝突のリスクを最小限に抑えることができます。

私たちのお客様は、半導体ウェハーやFPD基板などの試料を、対物レンズを退避・交換することなく、高解像度の画像を取得し、高速搬送することを求めています。

そのためには、長いWDと高い解像度を兼ね備えた対物レンズが必要であり、これが私たちの課題でした。一般的に、対物レンズは倍率や開口数(解像度)が高くなるとWDが短くなるため、従来の対物レンズは高解像度レンズと長作動距離レンズに分かれていました。

そこで、お客様が求める「高解像度」と「長いWD」を同時に実現するために、新たな対物レンズ「MXPLFLNシリーズ」を開発しました。 
 

高スループット検査用対物レンズMXPLFLNシリーズのご紹介

MXPLFLNシリーズは、高解像かつ広範囲の高フラットネス(均質性)画像が得られ、画像貼り合わせに最適です。特にフラットネスに関しては、新開発されたU-SWATLUを組合せた際に最も高いパフォーマンスを発揮するように設計されており、更なるスループット向上にお勧めですので、ぜひ合わせてお使い下さい。

Tube lens for microscope designs

U-SWATLU 結像レンズ

MXPLFLNシリーズには、20倍と50倍の対物レンズがあります。どちらの倍率も、明視野タイプ、明暗視野タイプの選択ができます。以下、それぞれの特徴をご紹介します。
 

MXPLFLN20Xと MXPLFLN20XBD対物レンズ

新しい製造技術により、明視野タイプの20倍対物レンズ(MXFPLFLN20X)は、NAが0.45から0.6に向上し、WDが3mmと長くなっています。20倍対物レンズでNA0.6とWD3mmを同時に達成したのは当社初です。また、明暗視野タイプの20倍対物レンズ(MXPLFLN20XBD)も、NAを0.55に改良しながら、WD3mmを実現しています。

Improved numerical aperture of the Olympus MXPLFLN 20X objective lenses

MXPLFLN 20X対物レンズは、長いWDを維持しながら、高いNAを備えています。
 

MXPLFLN50Xと MXPLFLN50XBD対物レンズ

MXPLFLN50X対物レンズは、当社で初めて開口数0.8とWD3mmを同時に実現した50X対物レンズです。これまで、1つの対物レンズで高解像度と長いWDを両立できるのは、LMPLFLN100X対物レンズだけでした。今回、新たに設計したMXPLFLN50X対物レンズは、高解像度と長いWDを兼ね備えています。また、LMPLFLN100X対物レンズの4倍の視野を実現しています。この広視野により、検査時間を短縮し、スループットを向上させることができます。明暗視野タイプもラインアップしました。

Semiconductor inspection with a smaller field of view
LMPLFLN100X (NA0.8, WD3.4mm)
Semiconductor inspection with a wider field of view
MXPLFLN50X (NA0.8, WD3mm)

視野の比較。MXPLFLN50X対物レンズ(右、倍率50倍)は、LMPLFLN100X対物レンズ(左、倍率100倍)よりも視野が広く、画像の貼り合わせを迅速に行うことができます。
 

MXPLFLN対物レンズシリーズを支える高度な製造技術

光学設計の歴史が長いエビデントは、高品質な対物レンズを製造することで知られています。WD3mmという目標を掲げ、そのWDで高解像度のイメージングを実現するために、設計のノウハウを駆使してきました。

高い解像力とWD を両立するためにはレンズ径が大きくなり、光線高も上がるため、設計難易度、製造技術も高いレベルが求められます。これらを解決するために、MXPLFLNシリーズは新硝材を採用し、従来高解像の高級対物レンズで常用されている低分散ガラスを多数使用、また、金属用対物レンズではあまり使用されていなかった特殊分散ガラスを併用することで、効果的に軸上色収差と倍率色収差を補正しました。

さらに、X Line™対物レンズの開発で製造技術を確立した極薄レンズを使用することで、高解像と高フラットネスの両立を達成しました。製造工程においては、波面収差コントロール技術を採用し、対物レンズの光学性能のばらつきを抑制して安定した品質を実現しています。
 

MXPLFLN対物レンズとその他の高品質な光学部品について詳しく知る

半導体検査などにおけるMXPLFLN対物レンズのメリットについては、以下のビデオをご覧ください。


また、お客様の装置への組込みに適した、その他の高品質な光学コンポーネントも提供しています。OEMリソースセンターでは、高度な光学機器を設計するためのリソース、ツール、FAQをご紹介しています。
 

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光学開発者

24年間にわたってオリンパス株式会社で光学系設計を担当。現在は株式会社エビデント光学開発部門に所属し、高精度対物レンズの光学設計開発に取り組む。日本の東京理科大学で工学修士号を取得。

一月 3, 2023
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