エビデントは光学観察・検査装置の開発、製造のために、顕微鏡のユニットをお客様へ供給し、ライフサイエンス研究、医療、工業などの幅広い分野にソリューションをお届けしています。
⼩型化が進む装置の中にどのように光学系をレイアウトするべきか、これは装置メーカーのお客様に共通する課題となっており、よくアドバイスを求められることがあります。そこで今回は、暗視野照明光学系をコンパクトにレイアウトできるMIXスライダーをご紹介します。
MIX観察により見えないものが見えてくる
エビデントの顕微鏡では、様々な観察方法によりお客様のサンプルに多彩にアプローチします。MIX観察もその一つです。MIX観察とは、その名の通り明視野観察や簡易偏光、蛍光などと暗視野観察を「ミックス」できる観察法です。
図1.MIX観察の模式図
本観察方法はレボルバーに挿入するMIXスライダー「U-MIXR」によって実現しています。従来の電動投光管はモーターによるキューブの電動切替を行う仕組みであるのと比べて、MIXスライダーはLEDの点灯と消灯を行うだけの仕組みなので、故障発生の確率が低くて安心です。また、U-KMASなどの小型の投光管と組み合わせると、電動投光管より省スペースで導入できます。
図2.MIXスライダー「U-MIXR」を前面及び背面から見た様子
図3.U-KMAS投光管にMIXスライダーを搭載したコンパクトな装置組み込み用顕微鏡
明視野観察+暗視野観察で半導体ウエハーサンプルの欠陥検査
明視野観察+暗視野観察を組み合わせることで、半導体ウエハーの色情報やパターン形状を明視野観察で把握しつつ、光学顕微鏡の分解能をはるかに超える小さなキズや欠陥を見つけることができます。
蛍光観察+暗視野観察で対象物の位置特定
蛍光は物体のみの情報しかないため、対象物の位置がわかりにくいことが多いです。しかし蛍光+暗視野観察を組み合わせることで、ウエハー上のパターン形状を観察して位置を把握しつつ、蛍光観察で検出可能な異物を同時に鮮明な画像として観察することができます。
暗視野照明を任意の方向から照射することで多彩な観察に対応
MIX 観察の大きな利点は暗視野照明の光量と照射方向を制御できることです。16 個の LED を個別に制御して、任意の方向から斜めに対象物を照らすことができます。この機能により、サンプル表面の隆起とくぼみを区別したり、表面の特徴や欠陥を強調したりできます。個別に点灯した暗視野照明を明視野、偏光、透過光、または蛍光と組み合わせて、ディティールをさらに強調することもできます。 以下の図6では個別に点灯した暗視野照明と別の観察方法を組み合わせたMIX観察で、リボンケーブル表面の特徴的な部位を強調しています。
図 6:
1.明視野と暗視野のMIX観察でポリイミドカバー表面と銅箔を同時に観察
2.明視野と斜め上方の暗視野のMIX観察により、平面部分と下方に傾いた形状を同時に観察
3.下に傾いた明視野と暗視野のMIX観察で、上に傾いた平面部分や形状を観察
4.偏光と暗視野のMIX観察でコンタミと凹形状を同時に観察
MIX観察の組み合わせが可能な顕微鏡ラインアップ
MIX 観察は一度に多くの表面形状を目視でき検査時間を節約できるため、暗視野と他の観察方法を組み合わせて使用するアプリケーションに便利なツールです。 お客様の顕微鏡でMIX観察を試してみませんか?当社の MIX スライダーは以下の顕微鏡に対応したオプションアクセサリーです。
- BX53M 正立金属顕微鏡
- GX53倒立金属顕微鏡
- MX63 / MX63L ウエハー検査顕微鏡
- STM7測定顕微鏡
- BXFM モジュール式顕微鏡
さらに、BX™ シリーズおよび MX™ シリーズの一部の古いバージョンの顕微鏡は、追加のコンポーネントを使用して MIX 観察に対応可能です。
お客様の装置に組み込むことのできるオリンパスの高品質な光学コンポーネントについてもっとお知りになりたい方は、www.olympus-lifescience.com/oem-componentsをご覧ください。
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